La vie de Ballet ~レッスンから学ぶバレエ事典〜

バレエのレッスン中に教えて頂いた事、感じた事、発見した事、バレエ作品の歴史やあらすじ、バレエのパに関する事、筋肉の使い方などなど、バレエに触れる中で気づいたことを忘れないように書き留めています。

肉離れの話

バレエでよく耳にする怪我の一つに肉離れがあります。
私も以前酷い肉離れを経験しました。
それまでは肉離れをそんなに大変な怪我とは思っていませんでしたが、実際に経験してみるととても大変な怪我でしたので、自分の経験も踏まえて肉離れの話を少ししたいと思います。

まず肉離れとはどんな怪我でしょうか?
肉離れとは、筋肉や筋膜に損傷が起きた状態のことです。
その程度は様々で、筋断裂になると手術が必要になる事もあるようです。
そして肉離れの怖いところは再発し易い、という点です。

実は再発させてしまうのは自分に責任があるのですが、肉離れのその症状の経過が、再発させるような経過を辿ることにも原因があり、再発させないためには肉離れの症状の経過を良く知っておくことが重要だと思います。

その肉離れの症状の経過とは・・・?
肉離れの程度にもよりますが、自力歩行が可能な程度の肉離れの場合、2,3日或いは1週間程度で痛みが無くなり治ったかのように錯覚させる状態になる事です。ここで治ったと思い込んで通常通りに動いてしまうと、再発させてしまうことがあります。

私の苦い経験をお話します。
1回目の肉離れは本当に軽い程度のものでした。
その日は、発表会の1ヶ月弱前の時期で、昼間と夜の2回リハーサルがありました。
怪我をしたのは夜のリハーサルの時です。
シソンヌフェルメを連続して跳んでいて、ちょっとプチっていうような感覚がふくらはぎに感じられたので、とりあえずリハーサルから抜けました。
歩く事にまったく支障はなく、踊ることにも殆ど支障がない程度でしたが、大事をとってその日はその後のリハーサルは見学していました。

2回目の肉離れはその1週間後。
かなりジャンプの多い作品(レ・パティヌール)のリハーサルだったため用心していたのですが、ソーテ、シャッセの時に、今度はかなりの痛みがふくらはぎに走りました。
このときは直ぐにリハーサルから抜けてアイシングをしました。
肉離れの程度は1回目よりかなり重い感じで、脚を床に着くことができず、歩行困難な状況でした。
発表会まで後3週間。
さすがにかなり焦りを感じて、翌日からかなりの頻度で治療に通いました。
今思うと2度程度の肉離れだったと思います。
それでも2,3日すると通常通り歩く事ができて、レッスンもジャンプ以外はこなすことが出来るようになりました。
ここで思い切って休むべきだったのですが、本番を控えて休む勇気が無く、治療しながら、ふくらはぎの肉離れ専用のサポーターをはめて、さらに整体の先生に教えて頂いたテーピングをして、まさにだましだましレッスンやリハーサルを続けてしまいました。
そもそも肉離れの性質を考えると、休んで快復に専念すべきだったと思います。

そして3回目は本番前日の舞台上でのゲネプロの時。
レ・パティヌールのゲネプロの本当に最後の部分、ソーテで舞台からはけるときにふくらはぎに後ろからボールをぶつけられたような衝撃が走りました。それが致命傷となり、舞台を本番前日に降板…

そしてこの時の肉離れはレッスン復帰に1ヶ月以上かかり、さらにレッスン開始後もリハビリなどを続け、本格的に復帰できたのは受傷から3ヶ月経過してからでした。
その間、スポーツ整形外科で患部の状況を超音波で確認しながらリハビリを続け、さらにスポーツマッサージを受け、慎重にレッスンを続けました。
その時のレッスンの記録を見ると、
レッスン復帰後1~2週間:ルルベは一切なし。もちろんジャンプなども無し。
3週間目~:両手バーで両脚ルルベあり。ジャンプはなし。
4週間目~:片手バーで両脚ルルベあり。
5週間目~:片足ルルベあり。
10週間目~:ジャンプはシャンジュマンのみあり。
などととても細かく慎重に進めていきました。
とにかく急がば回れ、を肝に銘じていました。

怪我をしたのが4月で、9月に小さい舞台が予定されていたので、そこで踊ることを目標にリハビリに専念して、無事に9月の舞台には立つことができました。

このときに通ったスポーツ整形外科は、東横線都立大駅にある都立大整形外科クリニックで、リハビリも充実していてとても良いスポーツ整形外科だったと思います。
かなりの混雑でしたが、予約制で夕方も19時過ぎまで開いているので、会社勤めでも何とか滑り込みで通えなくは無い感じでした。

そしてとてもお世話になったのは、整体の先生です。南青山にあるHandkraft(ハントクラフト)の藤原先生。
受傷当日、深夜にも係らず診て頂き、その後も復帰までずっと診て頂きました。

この時に怪我や怪我の予防についていろいろと調べたり、教えて頂いた事がありますので、こちらに記録しておきたいと思います。

RICE
まずは肉離れかな?と思ったら応急処置RICE。
安静、冷却、圧迫、挙上、で応急処置をします。
RICE処置についての詳細はこちらをご参照ください。

http://www.joa.or.jp/public/sick/condition/athletic_injury.html

温浴
肉離れを起こした部分は、治った後も暫くの間、しこりのようなものが感じられました。これを解消するために、整形外科で冷温浴を勧められました。
方法は、患部に、2分冷水シャワーをかける→2分温水シャワーをかける→2分冷水→2分温水・・・を10分間続ける、というものです。
その後は患部の血流が良くなるのか、ホカホカした感じがします。

BCAA(アミノ酸
BCAAはアミノ酸の一種で、筋肉のエネルギー源になります。
サプリメントでの補給も可能ですが、普段の食事からももちろん補給できます。
BCAAが豊富な食品は、マグロ、かつおあじ、などの回遊魚や、鶏の胸肉などです。BCAAと筋肉の関係についてはこちらに詳しく説明されています。

https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/bcaa/about/

そして日々の食事でBCAAを補給する方法については、タニタのこちらの記事に詳しいです。

https://www.karadakarute.jp/tanita/column/columndetail.do?columnId=225

アップとクールダウン
アップを行なって筋肉を充分に温めてから動くようにすることで、肉離れ防止に役立ちます。
また動いた後にはクールダウンを行なって、筋肉の疲労を取り除くことも肉離れ予防につながります。

疲労をためない習慣
それまではシャワーだけで済ましていましたが、この怪我以降はなるべくバスタブでお湯につかるようにしています。
お湯につかって血流を促すことで、疲労回復につながります。また良い睡眠を得ることにも繋がるので、疲労回復に役立ちます。

休む勇気
私はこれが無くて結局本番前日に降板というとても痛い目に合いました。
本番が近いと休むのにも勇気が要りますが、怪我をしている場合に休む勇気は本当に重要、だと思いました。

この時の怪我は本当に辛い記憶として残っていますが、それによって学んだ事もありますので、無駄にはなっていない、と思います。