La vie de Ballet ~レッスンから学ぶバレエ事典〜

バレエのレッスン中に教えて頂いた事、感じた事、発見した事、バレエ作品の歴史やあらすじ、バレエのパに関する事、筋肉の使い方などなど、バレエに触れる中で気づいたことを忘れないように書き留めています。

教えて頂くということ

先月、NHK BS1で放送されたワガノワ・バレエ・アカデミーの最高学年で学ぶ男子生徒4人のドキュメンタリーを視聴しました。

想像どおりで、想像以上の厳しい世界。

校長先生の生徒への指摘や注意は容赦なく厳しく、辛辣でした。
それを生徒たちがとても素直に、やさぐれることもなく受け留めているのが、大人だなぁ~、本当に真っ直ぐな子たちだなぁ、と感動しました。

ロシアでバレエダンサーになるには国家試験にパスしなければならないらしく、試験に向けてのレッスンは本当に厳しいもの。
そして1時間の国家試験の様子も紹介されました。
1つのセクションが終わってバックステージに下がってくる生徒たちは本当にヘトヘトで、体力と気力の勝負。かなり過酷な試験のようでした。

そして就職活動(バレエ団のオーディション)は当然厳しく、たとえ選び抜かれたワガノワ・バレエ・アカデミーの生徒であっても、そのバレエ団の芸術監督のお眼鏡にかなわなければ容赦なく落とされます。
マリインスキーバレエ団のオーディションの様子もほんの初めの部分だけが撮影されていました。みんなゼッケンを付けて、見ているだけでも緊張します。
1時間の試験の後、結果はすぐに発表されていました。1人1人部屋に呼ばれて結果を告げられている様子。

校長先生が一人一人の生徒のことを凄くよく見ていて、考えていることと、そんな校長先生に生徒たちは全幅の信頼を置いていて、どんなに辛辣な厳しい言葉を投げられてもすごく素直に受け留めていることに深く感動しました。
一番印象に残っている校長先生の言葉は、容姿に恵まれ、身体条件にも恵まれている生徒にかけた
「君を褒める人は君の敵だ」
という一言。
彼にはダンサーとしての成長力が足りない、という校長先生。
あまり努力家ではない彼の今後を心配しての親心なんだろうなぁ。
卒業公演を降板させたのも、校長先生からの彼への最後の贈り物だったのだろうなぁ。
でもそれを真っ直ぐに受け留めるのはすごく難しいだろうなぁ。

容姿、素質ともに申し分なく10年に一度の逸材といわれる生徒。
努力家だけどあまり容姿に恵まれない生徒。
就職活動で苦戦する生徒。
練習熱心ではないけど持って生まれたもので難関をクリアしていく生徒。
それぞれの生徒のことを深く見つめ、理解して、本当に深い愛情で接していく様子がドキュメンタリーから伝わってきました。

何かの教えを乞うというのは、信頼関係があってこそ。
どんな言葉でも
どんな状況でも
先生を信頼してそれを真っ直ぐに受け留める。
だから成長できる。
忘れていることかもしれない。

この人に会うと元気になる、というか気持ちが澄んでいく、という友人がいます。
ずっと一緒に踊ってきたバレエの友人。
踊りのキャリアは私の倍以上あると思うけど、彼女がカンパニーを辞める時までずっと一緒に踊ってきて、今もたまに会うと凄く気持ちが落ち着く友人。
一昨日彼女に会って、一緒にレッスンを受けて、ほんの1時間弱おしゃべりしただけだけど、半年くらいずっと心のしこりになっていたものが少し溶けるきっかけになった気がする。
バレエを愛する気持ち。
踊りを愛する気持ち。
彼女との共通点はそれだけだけど、それで十分気持ちが通じる。
まずは年末の舞台。
自分の役目を果たしてそれから先を考えよう、と思います。